焚火の事務所
焚火の事務所は、三枝希望が年一回自身の作品を劇団の枠にとらわれず上演するための個人プロジェクトの名称です。
年一回のペースでその都度、出演者を募り公演を行ってまいります。募ります……とはいえ、一緒に芝居をする方したい方、拒みません。いつでも様子探りのご連絡、お待ちしております。

公演終了いたしました。ご来場ありがとうございました。
 

精華演劇祭vol.13 焚火の事務所 公演
「硝子の声」

作・演出  三枝希望

【上演日時】

2009年   8月 6日(木)19時 開演
          ☆7日(金)19時 開演
          8日(土)15時 開演
              (土)19時 開演
           9日(日)15時 開演

     ※受付は開演の45分前、開場は開演の30分前

☆7日(金)19:00の回、終了後アフタートークあり。
ゲスト:福本年雄氏(ウイングフィールド代表)

 

【会 場】
 
精華小劇場  http://www.seikatheatre.net
(大阪市中央区難波3-2-4 TEL 06-6643-7692)


地 図


【料 金】

一般前売:2800円 一般当日:3000円  学生:2000円(前売・当日共、要学生証)


【出 演】


木村保(兵庫県立ピッコロ劇団)  工藤俊作(KUTO-10)
中道裕子(らく-がき) 全リンダ(創作箱『 絆(?)』)
原真(水の会)  佐藤あい  津久間泉(空の驛舎)  山口晶子


【スタッフ】


 美 術/今井弘(劇団・太陽族) 照 明/徳田芳美(アート・オー) 音 響/廣瀬義昭(T&Crew) 音響操作/勝藤珠子  舞台監督/サコ  イラスト・宣伝美術/群青亜鉛  
 制作協力 * 尾崎雅久 ( 尾崎商店 ) 制  作 * 笠原希 ( righteye )


【上演作品概要】


内 容
13年前の事件。初老の夫婦が病気で失職し、家賃が払えずに公団を強制退去させられ、唯一残された車で四か月生活した後に衰弱死した事件を元に、小さな幸せの横溢する環境の中でさまよわずにいられぬ人々の暮らしを現すことにより、私達の脆さや憶病さや焦燥を描いていきます。

梗 概
ある小高い丘の上の工業団地の片隅で、いつ頃からか車の中で暮らす夫婦がいる。近所の雑貨屋の男から水を貰い、車に戻る途中で妻は遠くから聞こえるピアノの音に立ち止まる。妻は以前にピアノの教師をしていたことがあり、昔を懐かしむが、夫に「私達はジプシーのように暮らそうと決心したんだ」とたしなめられる。しかし、妻のピアノへの思いは募る。
そこへ結婚を控えた若い男と女が、これから自分たちが暮らす町を眺めに来る。喉の渇いた女に妻が水を与えたことから夫婦と男と女はまるでピクニックに来た家族のようにうち解け、特に妻と女は互いにピアノの思い出を語り合うことで親しみを増す。
また、そこへは練習中に中継地点を間違え、近道しようと崖を通った為に怪我をした近所の女子大陸上部の駅伝の選手達も加わる。彼女らにより崖下の不法投棄場所となっているところにピアノが捨てられてある事を知らされる。
翌日、男と女が昨日のお礼をしようと夫婦と出会った場所に来るが夫婦の姿はなく、そこには怪我をした陸上部の女子大生がいるのみである。彼女により夜になるとこのあたりでピアノの音がすることを聞く。
やがて、彼女と雑貨屋の男により今まで聞くこともなかった夫婦の現在に至る過去を男と女は知り、男は自分たちの未来の暮らしへの不安からか「あの人達は僕たちとは違う。僕たちはこれから本当に暮らすのだ」といい残して夫婦と決別する。
数日後の駅伝レースの日。男と女が丘に来ると夫婦の車はもうない。女は遠くから聞こえるピアノの音とレースの音に耳を澄ますばかりである。
 本作品は1996年12月に劇団・狂現舎にて上演(於・ウイングフィールド)された作品を元に改訂し上演するものです。

チラシ裏面文章

むかし、線路沿いの当時築40年のアパートに9年ばかり住んでいた。線路がカーブしているところに無理に建っていたので、五角形の4畳間や6畳間のあわせて16室ある部屋には何故か老人ばかり住んでいた。  月に一回、市役所から「一人暮らし老人等、愛のひと声訪問」とやらがあった。 家賃が9ヶ月も払えずおろおろしながらも昼間からごろごろしている私の部屋をノックする音がし、やがて暗い廊下を立ち去る足音。 ドアを開けると、横の洗濯機の上にポツンとヤクルトが一本と、ほんのひと声のお便りが添えてあった。 ほかの老人達の部屋の前にも置いてあった。 みんな、働いていたから昼間居るはずもない。ヤクルトを各部屋から集め、私は愛を独り占めにしてしまった。
 ほとんど互いに会話することのないアパートの住人達だったが、それでも向かいの4畳半の老夫婦は私の身を案じて一生懸命働くように優しく諭してくれた。働かなかったけれど。 その夫婦もいつの間にか居なくなった。新しい住人も相変わらず老人達だった。ある時、管理人さんから、このアパートに来る人は大抵、夜逃げやら何やらの人が多いと聞いた。それから何年かして私はようやくアパートを抜け出し、世間を渡り歩く決心をした。
・・・自分の金で寿司が食えるようになった頃、新聞で初老の夫婦が病気で失職し、家賃が払えずに公団を強制退去させられ、唯一残された車で四か月生活した後に衰弱死した事件を知る。あのときの老夫婦と重なり、書いた芝居が12年前。いま、あと10年もしたら当時の住人達と同じ位の歳になるかと思うと実年齢ではやりたくないので、この機会に再演を決意した。
 小さな幸せの横溢する環境の中でさまよわずにいられぬ人々の、それでもささやかな暮らしを営んでいた、きっとやさしい時間を現わしてみたくなりました。 どうぞ、ぜひ、ご来場のほどお願いいたします。            
  

三枝希望